登山 ときどき秘境駅

栃木県宇都宮市在住。登山と秘境駅のログです。基本ぼっちのアラフォーだよ。

【探検】三斗小屋鉱山跡地をゆく【鉱物学視点より】

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地学愛好会やメンバーで、楽しく鉱石採取の巻~♪

 

今回は元同僚のHくんが、地学愛好会なる、すごい人脈を引ってきた。

簡単に言うと。

鉱山探査記のK先生にお会いすることが出来たんですよ!\(^o^)/

ズバリ、私の一番の情報源。情報量はもとより、現地でも調査報告をまとめて開示してくれているので、暇さえあれば、じっくり隅々まで見ていたサイトなのです。

そんな方に会えることになるとは・・・元同僚Hくんって、何者!?

前日、緊張のあまり眠れなかったのは言うまでもありません(汗)

 

てなわけで、今回のレポは。完全にガチです。
もはやこれは・・・登山ではないですね。

そしてこの私が、ハンマーを持って、岩を叩くことになろうとは!
また新しい世界が開いた瞬間なのでした(汗)


なので今回は、写真多めですが、簡単報告です。石割るのに必死で(汗)えへっ
GPS等はYAMAPを見てちょ。

薄々気づいているかと思いますが、興味のない人にとっては、ほーんと何もないところなので。行っても、廃レールぐらいしか見どころはないと思われます。

まーた、変な方向に走っていったな・・・コイツ・・・という目で見ていただけると幸いです。

 

○深山ダム集合→林道を通り、終点まで・・・

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那須あるある。ですわね。この看板。まぁ熊いるので。注意してね。

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林道終点まで。かなりダートな道が続くので、キレイな車で行っちゃダメです。

さて挨拶そこそこに、早速出発です。

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今日は天気が本当に良くて。紅葉もばっちりな感じ。ヤバイ。いいぞ!

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だが我々の任務は三斗小屋鉱山へ行って、鉱物を採集すること。

今回のメンバーは、地学愛好会からK先生とT氏、元同僚Hくん。私と、先日御沢金剛峡に連れて行ってくれたロープワークの先生2名の、計6名です。

全員が鉱物好きというわけではないのですが、(私ともう一人は、廃なもの好き)数分前に会ったとは思えないほど和気あいあいと進んで行きますよ。

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というわけで、30分ほどで登山道からの分岐に到着。ちょっと一休みです。

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ちなみに私は情報収集ヲタクなので、資料片手に質問タイム。ふむふむ・・・

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さて、ここから藪こぎからの、沢沿い歩きです。

途中、砂防ダムが出てきますが、右から巻けます。案内してくださる方がいると、本当にイージーに到着できるな・・・(汗)

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ちなみに手に持ってるハンマーは、地学愛好会 T氏からお借りしたものです。

「絶対必要だから!」と言われて、半信半疑でしたが。本当に必要でしたな!

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金山沢をどんどん上流方面へ上がって行きます。

水の流れと紅葉と。歩いていても楽しいですよ~

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30分ほど歩き続けると・・・おぉ!坑口だ!

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うぉぉぉ!すげー!本当にあった!三斗小屋鉱山!!

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噂の廃レールも見つけました!わぉ!

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てなわけで、早速鉱物採集開始なのです。

K先生曰く、あんまり良いものは採れないよ~とのことなのですが、元同僚Hくんは銅が好きなので、早々にコンコンし始めます。

磁石などで採った鉱物がなんなのか。わかるそうですよ。確か、磁石がつくと磁硫鉄鉱とかそっち系で、つかないものは黄銅鉱とか、だったような?

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先生に呼ばれて、馳せ参じる私(笑)私は、場所特定ヲタクなので、鉱石は全然わからないのですが、さすがにそろそろ勉強せにゃと思うようになりました。

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ですが、初心者2名。どうしていいかわからず、とりあえず様子見www

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赤茶けた石や他と違う石を探して、とにかくハンマーで割ればよいわけね。やってみます!

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ほうほうほうほう・・・・

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本当に採れた。私の写真はブレブレだったので、他の方の写真を拝借。磁硫鉄鉱も黄銅鉱も良いのが結構採れました♪

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採れだすと、結構ハマりますな~磁硫鉄鉱の塊見つけて、心躍りましたもの♪(*´ω`*)

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 ふと気づけば、皆黙々と・・・

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こちらのチームも楽しそう♪

皆それぞれ、自分の好きな鉱石を持ち帰ります。しばらく自慢タイムなどもあったりして。なんだかんだで、私も鉱石面白いかも!と思いはじめている・・・

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しかし、この専用ハンマー。叩いても手痛くならないし、ちょっと感動。

欲しくなってきたわ・・・

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坑口がいくつもあるので、移動しながら鉱石を探す。これは他の坑口にあった廃レール。ここがが掘られたのはかなり昔なので、だいぶ朽ち果ててます。

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中途半端に土のうで塞がれているような坑口も。

ここは規模20名ほどで細々と採掘されていたようですが、穴は多いなぁ・・・

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さて。沢沿いの探索が終わったら、今度は尾根近くにあるという坑口へ。

ここから藪こぎが始まります~

ちょっと場所が不明瞭でゴタゴタしましたが、無事!

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なんか縦に裂けてるとこ、発見~こんなところまで掘ったの!?

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 うわぁぁぁ!水ぴちょん系なんだけど、超怖い~!!!

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そしてこんなところでーですが、軽くランチタイム♪

坑口の反対側には紅葉が広がっています♪(*´ω`*)贅沢だわ~

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そして元同僚Hくんは、軽くパンを食べたら、すぐにズリ?と思われる場所へ。

本当に石が好きなんだなぁ・・・

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興味がそこまでない人は、クライミングを始めたり・・・

自由時間は各々過ごして、、、

さて楽しい時間は終わりです~そろそろ帰りましょう♪

再び、三斗小屋宿までは結構な藪こぎでした。写真撮影する暇なかったです。

でもまぁ、普通かな?

 

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平地についてから、突然登場した山の神神社。最近、会津中街道で地域おこし?かなにかをしようという動きがあるらしい。

ちなみに奥には、かな~りご立派なコンセイサマが鎮座されておりまっせ~

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三斗小屋宿。私結構好きな場所です。突然開けてくるのも面白いけれど、歴史を知るたびに趣がぐっと深まります。

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白湯山信仰のメッカだった場所ですから。石碑もいっぱいありますね。

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これはもちろん再建されたものですが。ここからスタートしていたわけではないらしく。でも、眼の前の川を渡ってからスタートするとかなんとか・・・いやね。ガケなんですけどね・・・どうやって川に下りたんでしょうね・・・(汗)

(※降り口がどこかにあるらしい)

あと昔の地図によると、この鳥居の右側に、鉱山事務所があったみたいです。精錬所??なのかな? 

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微妙に湧いてる水場で男たちは何を語らふ・・・

ていうか、今の今になって気づいた。女性が私一人だったと!(遅い!)

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左から、ロープワークの師匠のMさん。実は鉱物好きだったらしくって。終始楽しそうで、お誘いして本当によかった。ていうか、この方も多趣味だよなぁ・・・

真ん中がK先生。とにかく情報量と行動力がハンパないお方です。資料をかなりお持ちとのことで、これからいろいろと情報交換させていただこうと虎視眈々と狙っております♪しかし私の目指す方向性に似た方がいると、なんだか嬉しいですね。

右の方が、愛好会のT氏。鉱物がまったくわからない私達にも、噛み砕いて優しく教えてくださいました。おかげで私、ちょっとコンコン方面も頑張りたいかな~って思ってきましたよ。たぶん近々、ハンマー買ってるんじゃないかなぁ?(笑)

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最後の締めくくりに、こんな素敵な林道を歩けるなんて。

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なんか、締めとしていい感じの写真だわ♪

やっぱり廃なものを求めるのは、晩秋に限るね!

 

というわけで、三斗小屋鉱山跡地 探検でした!

参加した皆様、本当にありがとうございました!

 

しかしこの日を堺に、ぐっと人脈と情報量が増えて、とてもうれしく思う反面。

私の小さい脳みそが処理しきれず、さすがにパンクしかけました(汗)

鉱物関係も、少しづつ。皆様にお力添えをいただきながら。頑張っていこうと思います。

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そして最後に。

当日は、地学愛好会のT氏から資料類一式までご用意いただき、本当にありがとうございました!水晶とかとても嬉しかったですが、私的には、報告書資料がとても興味深く♪

本当にハンマーを貸してくださったりと、最初から最後まで、いろいろありがとうございました!
ぜひ、また、どこかの鉱山跡地にご一緒させてくださいね!

 

■三斗小屋鉱山跡地について


江戸時代には黒羽藩による銅の採掘があったらしいのですが、戊辰戦争のために休山。なおこの時全部落が焼失したので、鉱山は長らくかえりみられなかったようです。(このあたりは血生臭い残虐な歴史があるので、ご興味のある方はぜひ)
1891年(明治24年)再開され、三斗小屋宿に精錬所を設けて、粗銅として黒磯へ出荷していたそうで、鉱山から精錬所への鉱石の運搬は人力に頼り、鉱夫が背負ったようです。
んー・・・
あの藪漕ぎした急斜面を登り降りしたってことなのかな?でも、30分程度だからって!昔の人だからって!大変じゃなかったのかい!?
違う場所にあったのでは?と先生が言っていた意味がなんとなくわかりました。

ちなみに鉱夫には、板室や三斗小屋の人たちが多く登用されていて、1911(明治44)年の三斗小屋の人口は44名、うち鉱山関係者は21名なので、ほぼ半分が従事していたことになります。
このあたりは、白湯山信仰のメッカだったのですが、それは江戸時代の話。明治に入ると減少傾向にあったはずなので、地域の産業として期待されていたのかな?
最盛期は第一次世界大戦(1914~18年)だそうですが、採鉱高は不明。大正中期には再び休止となり、その後試掘は行われたようなのですが(最後の試掘は1954年)、営業は再開されずに現在に至る。とのことでした。

鉱種は銀・銅・鉛・亜鉛
今回の鉱物採取では、磁硫鉄鋼、黄銅鉱が主だったので、なるほどほど・・・と思いました。
こういう確認ができるのも、お借りしたハンマーでコンコンしたからこそ。
面白いねぇ。


ちなみに、いろいろな資料を読んでいると「銀」が採れたとの記載もあるんです。
で、それは現在、K先生が実地調査を行いながら、いろいろと調べているようです。

古い資料はなかなか手に入らなくて。先生方もかなり苦戦されているご様子でした。 


■参考資料
三斗小屋温泉誌」三斗小屋温泉誌刊行委員会編 1989年12月10日発行 随想舎
黒磯市誌」昭和50年1月1日発行
「地下資源調査報告書 第2号」 三斗小屋鉱山銅鉱床他調査報告 栃木県